研究Research
01.学習経験の質モデルに関する研究
「Parrishの学習経験要因モデルによる主体的学習者育成プログラムの開発と評価」
基盤研究(C)平成30年度~令和4年度(2018年度~2022年度)研究代表者
本研究の目的は、「学習者要因」に焦点をあてたこれまでの研究成果に、「環境要因」に焦点をあてた本研究の成果を統合・発展させ、学習経験の質を高めることを通じて主体的学習者を育成する「学習経験要因モデルによる主体的学習者育成プログラム」を開発することである。これまでの研究において、意欲向上につながる学習経験を実現する方策を試みている。今後の研究としては、環境要因(直接性・可塑性・切迫性・共鳴性・一貫性)や学習支援の具体的な内容を明らかにするとともに、支援方略を作成し、チェックリスト化(どのような内容をどのように教えることで、学習経験に影響を与え得るかを整理)したものも開発していく。
つまり、本研究では、もう一つの要因である「環境要因」に焦点をあて、主体的学習者の育成に学習経験の質向上という観点を用い、教育実践での活用可能な具体的な方策を新たに創出していくことである。
(研究成果の発表)
- 仲道雅輝,竹岡篤永,根本淳子『初年次学生の学習経験の質に着目した「授業改善ヒント集:学習者要因編」の作成』リメディアル教育研究,第16巻,1-11.2021年.査読有
- 仲道雅輝,玉井輝之,井上昌善,村田晋也(2021)コロナ禍における初年次教育科目のオンライン授業の設計と実践-新入生セミナーA(教育学部)での取り組み-,大学教育実践ジャーナル,第19号,147-155.査読有
- 村田晋也,仲道雅輝,竹中喜一,中井俊樹,小林直人(2021)初年次教育科目における遠隔授業実施支援の取り組み;「新入生セミナーA」オンラインコンテンツの提供,大学教育実践ジャーナル,第19号,141-146.査読有
- 仲道雅輝,竹岡篤永,根本淳子「Parrishの学習経験要因モデルを用いた授業改善ヒント集「環境要因編」の作成に向けて」日本リメディアル教育学会全国大会発表論文集,2018年8月28日.pp.144-145.
「学習者要因に着目した学習経験自己評価表の開発と評価―初年次教育での学ぶ姿勢の育成」
基盤研究(C)平成27年度~平成29年度(2015年度~2017年度)研究代表者
※本研究はJSPS科研費 15K01027の助成を受けている。
質の高い学習経験は、その後の学習行動を促進するとされており、学習経験の質向上を支援することの教育的意義は大きい。初年次教育を受ける学生は、新たな学習経験を積み始める段階であり、学習に前向きに取り組もうと思える心の持ち方を学ぶ必要がある。
本研究は、パリッシュの「学習経験の要因モデル」にある「学習者要因」に焦点をあて、その下位分類とおもな支援方略を明らかにし、学生が自己の学習者要因を評価するための「学習経験自己評価表」を開発する。自己評価表を用いて、学生自身が自己の学ぶ姿勢を評価し改善することで、望ましい学習姿勢を身につけ、学習効果が向上することを目指す。また、学習経験自己評価表をもとに、教員が学習経験を高める授業改善に使える「授業改善ヒント集」も作成し、授業改善を支援する研究を進めている。
(研究成果の発表)
- 仲道雅輝・根本淳子,「パリッシュの学習者要因に着目した授業改善ヒント集の開発-初年次教育での学ぶ姿勢の育成-」初年次教育学会第9回大会,2016年9月11日.
- 仲道雅輝・根本淳子・竹岡篤永・高橋暁子・鈴木克明「Parrishの学習経験の質モデルに着目した学習経験自己評価表の開発」日本教育工学会第32回全国大会,2016年9月18日.
- 仲道雅輝,根本淳子,竹岡篤永,高橋暁子,鈴木克明,「Parrishの学習経験の質モデルの学習者要因に着目した授業改善ヒント集の開発」日本教育工学会研究会論文集,2017年10月20日.pp.187-194.
02.高等教育機関における全学的なe-learning推進に関わる研究
全学的なe-learning推進に関わる学内マネジメントの重要性を含め,普及要因を普遍化し,広く高等教育機関にモデルとして研究を進めている。また、教育改革・業務変革時における教職員の意識変容に関わる調査並びに効果検証等も進めている。
(研究成果の発表)
- 仲道雅輝(2019.3.15)Rogersの普及理論を活用したeラーニング普及推進事例,大学e ラーニング協議会・日本リメディアル教育学会合同フォーラム研究会,(山梨大学)
- 仲道雅輝,「高等教育機関で活用できるeラーニング普及推進モデルの構築に関わる実践研究」,熊本大学大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻博士後期課程 博士学位論文,2018年2月
- Masaki NAKAMICHI,Junko NEMOTO, Toshihiro KITA,Hiroshi NAKANO,Katsuaki SUZUKI,A case study of university-wide effects of e-learning promotion activities,International Journal for Education Media and Technology 2017,Vol.11,No.1,pp.34-41.
- 仲道雅輝,佐藤慎一,根本淳子,喜多敏博,中野裕司,鈴木克明(2016)e‐learningの全学的普及推進に向けた実践研究-効果的な普及方略に関する一考察-.教育システム情報学会誌Vol.33,No.3,149-154.
- 仲道雅輝,松葉龍一,江川良裕,大森 不二雄,鈴木克明(2010)「科目ガイダンスVOD」を基軸としたFD-全学的なe-learning推進を実現する教員の意識改革-,日本教育工学会論文誌33(suppl.)25-28.
03. インストラクショナル・デザイン(ID)手法を活用した教育改革に関する研究
授業実践での支援を通じて、効果的な授業方法(ICTを活用した授業改善・授業コンサルテーション等)に関する実践研究を進めている。
(研究成果の発表)
- 仲道雅輝,秋山英治(2021)日本語プレイスメントテストにおける試験時間と出題順が解答率と正答率に及ぼす影響,リメディアル教育研究,第15巻,1-13.査読有
- 仲道雅輝,井口梓,桐野律子,富永真奈美,徳田明仁,若林良和(2021)大学広報における学生による情報発信の成果と課題-「コロナ禍」の中で学生向けプレスリリース研修会を実施して-,大学教育実践ジャーナル,20号,91-98.
- 仲道雅輝,村田晋也,小林直人(2021)愛媛大学におけるティーチング・ポートフォリオ作成ワークショップのブレンディッド開催の実践-対面とオンラインでのメンタリング設計の取り組み-,大学教育実践ジャーナル,第19号,173-180.査読有
- 竹中喜一,仲道雅輝,村田晋也,中井俊樹,小林直人(2021)遠隔実施による新任教員研修の成果と課題-愛媛大学授業デザインワークショップにおける実践をもとに-,大学教育実践ジャーナル,第19号,165-172.査読有
- 吉田一恵,吉松明子,竹中喜一,仲道雅輝(2021)次世代リーダー養成ゼミナール修了者の行動変容に関する考察-修了者へのインタビュー調査結果をもとに-,大学教育実践ジャーナル,第19号,87-95.査読有
- 長崎睦子,三浦優生,ジュリア・カワモト,仲道雅輝,石丸利恵,太田琢磨(2019.3.6)合理的配慮が必要な学生およびリメディアル学生のための英語eラーニング教材の開発,英語教育センター,愛媛大学教育改革促進支援事業成果報告会,(愛媛大学)
- 仲道雅輝,秋山英治,清水史(2014)インストラクショナル・デザイン(ID/教育設計)を活用した対面授業からブレンディッドラーニングへの再設計支援.愛媛大学教育・学生支援機構,大学教育実践ジャーナル第12号,47-54.
- 秋山英治,仲道雅輝(2015)初年次教育科目「日本語リテラシー入門」の実践とその成果.愛媛大学教育・学生支援機構,大学教育実践ジャーナル第13号,33-41.
- 秋山英治,仲道雅輝,八木昌生,谷口浩一,松本浩司,三好徹明,光宗宏司(2016)日本語リテラシー教育における高大接続-eラーニングの活用とその効果-.日本リメディアル教育研究第11巻第1号2016,1-12.
- 根本淳子,吉田明恵,仲道雅輝,田中寿郎(2016)学生にとって初めてのフルオンライン型ラーニング科目の履修動向と学習継続支援:実践からの一考察,愛媛大学教育・学生支援機構大学教育実践ジャーナル第13号,pp, 75-80.
- 山下奈緒子,福田里砂,山脇孝,仲道雅輝,根本淳子,都築和宏,中村勝(2016)e-learningを活用した臨地実習の事前学習「周手術期看護:手術直後の患者の観察と対処方法」の取り組み,愛媛大学教育・学生支援機構大学教育実践ジャーナル第13号,pp,81-88.
- 秋山英治,仲道雅輝,都築和宏,彦田純也,八木昌夫,谷口浩一,松本浩司,三好徹明,光宗宏司(2016)eラーニングを活用した高大接続プログラム「日本語リテラシー」に対する生徒の意識と学習観,愛媛大学教育・学生支援機構大学教育実践ジャーナル第13号,pp,97-104.
- 秋山英治,仲道雅輝,都築和宏,光宗宏司,三好徹明(2018)高校生の情報に関する基礎知識力と情報機器利用の関係について-高大接続で取り組む早期・情報教育プログラムの試み-,リメディアル教育研究第12巻,pp,49-66.査読有
04.リーダーシップに関する研究
学生を対象に、自らの経験をリフレクションによって整理し学びに変えていくことが大学生のリーダーシップ養成にもたらす効果検証などを試み、進めている。
(研究成果の発表)
- 村田晋也,仲道雅輝,淺田隼平(2021)教育実践報告:準正課教育プログラムにおける遠隔授業実践の試み,大学教育実践ジャーナル,第19号,157-164..査読有
- 村田晋也,山内一祥,秦敬治,岸岡洋介,仲道雅輝(2018.12.1)「大学生のリーダーシップ養成におけるリフレクションの効果について」大学教育学会課題研究集会,(長崎国際大学)